今年2月に初孫が産まれました。本当は、フランスに住む娘の家で孫を抱いているはずでしたが、コロナ禍の中、渡航するのは控えました。今はインターネットのお陰で、海の向こうの画像や動画を簡単に受信し、ライブまで見ることができます。
ただやはり、視覚、聴覚以外の感覚がわからない物足りなさも感じました。その寝息が触れるくすぐったさ、ふわふわなお肌や小さな手で指を握られる感じ、おっぱいを飲むときの優しい空気の匂いを、画像を何度も覗きこみながら想像します。
絵画は実物をじっくり見て描くのが基本ですが、今の状況と時代に合わせて、今回はデジタル写真を見ながら ipad と Apple Pencil、デジタルペイントアプリの Adobe Fresco
を使って描いてみました。ツールも良くできていて楽しく、何よりも描く時間そのものが孫との対話の時間となり、気づけば微笑んでいるような至福の時でした。
そして、無垢な新しい命によって気づかされたことは、ただシンプルに「生きるために生まれ、生きるために生きる」ということであり、現在を「ともに生きていく」という、真理のようなものでした。
一日も早く、平穏な世界が訪れますように。
2021年5月